OSSについて(利点と欠点)
OSSとは
まず、OSSとはなんなのかを説明しましょう。「オープンソースソフトウェア」の略称、と言っても、ピンとくる方は多くはないと思います。
しかしながら、そんな方でも知らず知らずのうちに、今この瞬間もOSSを利用しているはずです。
例えば、過半数のスマートフォンにインストールされているAndroidや、Google Chromeは、大部分がOSSで構成されています。
あなたが今閲覧しているこのサイトのシステムもOSSです。
OSSはその特有の性質から、身の回りの多くの機器で様々な用途に使用されています。
では、その性質とは何か。それは、無料で利用でき、コピーや再配布が自由であるということです。
従来、「無料ソフトウェア」といえば、個人が趣味で開発しているものや、有料ソフトウェアから機能を絞った無料版ばかりで、改造や再配布には制限があり、粗悪なものという印象も持たれがちでした。
しかしながら、大企業などの資金的・技術的援助を受けながら多くのボランティア開発者が協力して1つのソフトウェアを開発するという「オープンソース」の考え方が広まると、有料ソフトウェアよりも高性能な無料ソフトウェアが数多く生み出されるようになりました。
これが、OSSなのです。
(「オープンソース」とは、ソフトウェアの元になるプログラムである「ソースコード」を多くのボランティアが公開の場で開発することを意味しています。)
OSSの利点
ここからは、そんなOSSの利点について紹介していきます。OSSの最大の利点は、やはり、無料で自由に利用できることです。
有料ソフトウェアを使用すると数千円〜数万円必要になってしまうような作業が、電気代以外はタダでできてしまう。これだけでも十分にOSSを使用する価値があります。
また、OSSはコピーも自由であることから、ソフトウェアごとデータをコピーしてバックアップしたり、メインのPCとサブのPC、さらに外出用のノートPCとタブレットに全てインストールしておくといった使用法も可能になります。
(多くの有料ソフトウェアではこのような使用は規約で禁止されており、損害賠償請求の対象にもなります。)
さらに、OSSはユーザーの意見を取り入れながら開発されているため、痒いところに手が届くような便利機能が搭載されているものもあります。
加えて、有料ソフトウェアにはコピーガードのために使用者の個人情報を収集する機能が搭載されているのが普通ですが、OSSはコピーガードがないので、ユーザー登録なども必要ありません。
なぜ企業がOSSの援助をするのか
ところで、前述の「大企業などの資金的・技術的援助を受けて」という部分に疑問を持った方も少なくないかと思うので、簡単に説明しておきます。企業がOSSの援助をするのには、様々な理由がありますが、主なものを列挙しておきます。
- 純粋に社会貢献活動として
貧富に関わらず誰もが自由に利用できるソフトウェアの開発は社会貢献活動として企業イメージの向上に繋がります。 - ソフトウェアの品質向上のため
自社で使用するためのソフトウェアをOSSとして開発することで、ボランティアの協力を得て開発したり、世界中の様々なユーザーの意見を取り入れて性能を向上することが可能になります。 - コストカットのため
有料ソフトウェアを購入するより、必要とする機能に近い機能を持ったOSSに必要な性能を満たすまで資金援助するほうが安上がりであるケースは多く存在します。 - 柔軟な運用のため
前述の通り、有料ソフトウェアは自由にコピーできないため、システムを丸ごとバックアップしておくといった運用に制約が生まれます。そこで、有料ソフトウェアの代わりにOSSを採用し、そのOSSの性能が向上できるよう資金援助が行われる場合があります。
OSSの欠点
ここまでは、OSSの利点ばかり紹介してきましたが、最後に、一応欠点も紹介しておきましょうか。とはいっても、これらの欠点は実用上大したものではありません。
無保証である
無料のものなので、当然ながら保証は付きません。ただし、多くのOSSにはバグを報告するための専用サイトが用意されており、報告されたバグは順次改善されています。
海外サイトからのダウンロードが必要
OSSには海外で開発されているものが多く、海外サイトからダウンロードする必要があるものが大部分を占めます。しかし、有名なOSSはソフトウェアそのものは大部分が日本語対応になっていることがほとんどで、ダウンロードしてしまえば特に問題はありません。